ベンリン・リー

どうも、今日の昼間に昔の会社の同期から電話がかかってきましたが、
相変わらずゲスな野郎で安心しました。




いい意味で。




相変わらずゲスで下等で畜生でクズな野郎でした。





もちろん、いい意味で。




えー、日本語にはかのように便利な使い方の出来る言葉があります。


ベンリン・リーです。




冒頭に使った『いい意味で』もその最たる例です。


たとえ、つい本心で出てしまった言葉も後付けするだけでホワァ〜とします。
あ、この人は言葉選びが下手なだけで悪意がある訳じゃないんだな感が出ます。


問題が発生してからでは遅いので事前にそれを回避するべく動く、
いわゆるリスクマネジメントって奴です。


今回はそんな言葉を思いつきでつらつら書いていくことにします。
もちろん、いい意味でね。




【無礼にならないように相手の話を打ち切る場合】


さて、あなたは会話をしてる相手の話にうんざりしてしまったことはありませんか?
僕はゴマンカイとあります。
でも「わかったわかった」とか「もうその話はいいや」とか言うと感じが悪い。
どうやって話したもんか考えた挙句、結局ラストまで聞くハメになったりします。
しかもこの手の人間は合間で確認作業を挟んでくるケースもあり非常に厄介です。
そうなってしまうともう詰みです。そんな事態は防がなければいけません。


そんなときはこう言ってやりましょう。





『なるほどー』




と。


出来るだけ抑揚を出さずに言うのがポイント。


顔文字だと、


( ゚ ρ ゚ )ナルホドー


こんな感じです。


この言葉の裏には
「はいはいその話はわかったからさっさと終われよクソッタレー!」
という意味が込められていますので、
聞いた人間は話ごたえがみるみる無くなりそのつまらない話をやめることでしょう。


敬語バージョンとして、




『なるほどですねー』



も存在します。ビジネスシーンでの大活躍が見込めます。




上級者向けに、





『はいはいはいはいはいはいはーい』





というバージョンもありますが、
1秒間に『はい』を10回発言する高速の舌づかいと、
係長クラスの凄味がないと効果をなさないのでパンピーの方にはおススメしません。


あと、「なるほどー」に関しても部長とか課長相手にこれを使うと、
普通にブッ飛ばされる危険性があるので、「いい意味で」との併用を忘れずに。






【敬語を使いたいけどよくわからない場合】


学生時代には使用頻度はほとんどなかったにも関わらず、
いざ社会人になると敬語の使用がもう基本の生活になってしまいます。
尊敬語に謙譲語、ありおりはべりいますがり等、覚えなくてはいけないこと山の如しです。



ですが、しばらくはそんなもん覚えなくても何とかなります。
いますがりについては一生覚えなくてもいいでしょう。





とりあえず、





『ッス』





を語尾につければ全部敬語です。



僕の前の会社の後輩なんかはこれをマスターしていて、
外回りする際に普通は「行ってきます!」の所、


「行ってきまッス!」


という天才的な融合を見せました。
最小限の付けたしで他の営業より数倍丁寧に外出していく感じが出ます。


帰社したときはどうかと言うと、


「ただいま戻りましたッス!」


というただでさえ丁寧な「ました」に「ッス」を付けたす相乗効果。
そりゃ売れますよ。




【さりげなく自分の意見を主張したい場合】


生活している中で大小問わず多くの話合いの機会があります。
自分の中で正しいとか芯が通っている自信さえあれば問題なく発言できるはずです。
ただ、根拠は微妙だけど、一石は投じたい。
そんな一見ハタ迷惑ながら自らの中ではこらえきれないモヤモヤした気持ちを晴らす言葉。


それは、




『・・・って誰かが言ってました』




これです。



似た使い方として


『・・・って今朝の日経で読んだような気がします』
『・・・って池上彰さんが言ってたような気がします』
『・・・ってウチのおじいちゃん大学の教授だったんですがそう言ってたような』



という具体的なようで依然ぼやけたままの言葉を付けたしてやるのもいいでしょう。


『ソースはどこ?』とか聞いてくるウィキ中にはドロップキックしてやりましょう。
『日経読んだけどそんな記事なかったけど・・・』っていう奴は水平チョップです。
大抵日経読んでる奴は日経読めば日本の高度なニュースは全部カバーした気になってますからね。


しかし緊迫した場面でコレ使うとやっぱり怒られると思うので、
「いい意味でッス」を付け足すのを忘れないように。






【詳しくないのにスポーツの解説者になってしまった場合】


思いつきで始めてしまったのでそろそろネタ切れな感が否めませんが、
こんな状況がないとは言い切れません。


自分の意見や知識を言う場合には必ず、




『皆さん、ご存じだとは思いますが・・・』




と頭につけましょう。
これをつけることで「んなこと知ってるよボケが!」という罵倒を防げます。
ちなみに僕が今日見てたサッカーの試合の解説者は連発してました。
ただ、そんなにこちらは存じてない情報が多かったような気はします。



さらにスポーツでプレーの一つひとつの解説を出来ない場合は、





「とにかく選手の名前を連呼する」





それだけで「俺、知ってるけどいちいち解説してるとテンポ悪いから名前を連呼することで表現するよ」
という感じが出ます。
この場合は抑揚を非常に豊かに発言するといいでしょう。


気をつけたいのがこの時に選手の名前を間違えないことです。
これやっちゃうと大変恥ずかしいことになります。


最終的に一番無難なのはこれ。




観客になってしまう。




コレです。


「わー!」とか「あぶないっ!」、「きたっ!」等を連呼することで、
「難しい解説してもわからないだろうから敢えて目線を下げて観客と同じ所で見てるよ」
というフレンドリーな感じがでます。
この使い手としては松木安太郎氏が達人の域に来ているので、
なかなか第一人者になるのは難しいかもしれません。


なお「いいボールだ!」「気合ですよ、気合!」「選手交代はまだですかね!」
はよく使われるフレーズなので参考にしてください。
選手の交代枠を使い切ってしまっても「交代した方がいいですよ!」は使えるので留意ください。






こんな感じで日本語は様々な表現方法があるので、
リスクマネジメントの方法は多種にわたります。
今回はそのほんの一例にすぎません。
本心を持ちながらも感受性のひときわ強い民族である我々は、
それをうまくぼかしながら問題を解決していくのです。


ちょっと振り返ってみましょう。




シチュエーションは【上司に怒られている若手社員】です。



上司:・・・だからお前の仕事はいつも・・・(ぐちぐち)


『なるほどですねー』


上司:ん?お前聞いてんのか??


『はいはいはいはいはーい』


上司:あーそうですか、上司の小言なんか聞きたくないってか?


『いや、いい意味でッス!』


上司:いやいや、言ってる意味わかんねぇよ。


『そういうことをお客さんの担当の人が言ってました』


上司:お前の意見を聞いてんだよ!


『ご存じだとは思いますが・・。』


上司:早く言えっつーの!


『あの、課長。課長・・・。課長!・・・課長?』


上司:だから何だよ!


『・・・』


上司:他の奴じゃなくて、お前に聞いてんだよ!
   もういい、こうなったらお前が意見言うまでミーティング終わらねぇからな!







・・・・。








まぁ、こういうときもあります。








もちろん、いい意味で。