悪・即・斬ぁぁぁぁぁん!

営業中にまた例のあの先輩と一緒に客先に行くことになって、
言われた言葉が、
「さっきまでやっぱ漫喫いたん?」

「やっぱお前変なカッコしとるなー」
でしたffです。


俗にポップカルチャーと呼ばれるものがあります。
ポップというのは要は大衆的か否かということで、
「売れたもん勝ち」という世の中の縮図を表したものです。
そこでは過去や個性は軽視され、知名度と現状実績が重視されます。


マンガもひとえにポップカルチャーの影響を多分に受けたメディアツールで、
売れるものはますます大衆化し、そうでないものは淘汰されていきます。
その中でもアンケート至上主義を取る少年ジャンプはその最たる例といえるでしょう。


面白かったマンガを答えるアンケートでの結果がそのまま掲載順となる、
至ってシンプルな構図は読者に打ち切りマンガをある意味示唆しています。
掲載順が後ろ=打ち切りという図が明らかですからね。
人気がないこと即ち悪です。
とりわけ新人には厳しい世界です。
自分が生き残る為には先輩作家を打ち切りに追い込まなくてはいけないのですから。
新連載が始まるとき、そこにはひっそりと終わりを告げているマンガがあるのです。


今年は「タ●ヤ」「ポ●タ」「ツギ●ギ」などが終了。ある意味当たり年といえます。
いずれの作品も、「期待の新鋭作家!!」と彗星のように現れ、
ある意味インパクトを与えてこれまた彗星のように去っていきました。
去年の「カ●ン」といい、主役をそのままタイトルにしたマンガはヤバイ兆候が見え始めていました。


そして・・・また一つ。ジャンプに伝説を残したマンガが打ち切られました。
悪即斬の世界の中で挑戦的なタイトルが目立った、
その名は・・・・「斬」


その記念すべき第一回の巻頭カラーをご覧下さい。



・・・・。


なんていうか、ツッコミどころ満載ですが、とにかくすごいです
第一回にしてこのクオリティ。何かを感じさせる空気がビン!ビン!してました。
思わずスキャンしてしまったあの日を思い出します。


腰パンしているサラリーマン。
明らかにいるゾロ。
ちっちゃすぎるオッサン。
トイレに逃げ込むウンコヘアーの男。
デパートの垂れ幕が「けいたい」とひらがな。
かわいそうな猫たち。
槍にしか見えない刀。
上のコマにはなかった電灯。


・・・繰り返しますが、とにかくすごいです
間違い探しでもこんなにでてきませんよ。


そしてヒロイン月島さんの初プンスカにやられた読者が続出したとかしてないとか。


しかし、この面白さにもかかわらず新人保護期間を終えた斬は当然のごとく掲載順は下降を辿り、打ち切りゾーンにどっぷりつかってしまいました。
僕は前々回くらいの日記であと5〜6回は応援すると冗談で書きましたが、
あれから2回で終わってしまいました


そんな最終回には「斬」テイストが凝縮された回でした。



まずは表紙。「はじまり」というタイトルが切ないです。
貫木のとても風呂敷に包みきれないおにぎりの異常な大きさに目を奪われますが、
ここは斬の飲み物に注目です。



ほ〜い ん茶


やっぱり杉田先生はすごいです。
急にアラレちゃんです。天才恐るべし。



丁寧な敗因解説


そしてあのやたら長い説明口調の台詞も健在。
負けたというのに1ページ使って分析なんて偉すぎです。そりゃ倒れます。
画像が斜めに見えるのは気のせいです。


ちなみに1話で伝説になった雑魚キャラの名解説は他誌の「ハヤテのごとく!」でネタにされるほどの反響振り。


ぐおおおお


他誌にパロされるなんて滅多にありません。しかも1話。すごすぎです。
そりゃときめもファンドで首が回りません。



斬ぁぁぁぁん


そして斬も決闘の末、倒れてしまいますが、そのときの貫木の叫び声が妙に艶っぽいです。
さすが擬音マスター杉田。すごいです。



プンスカ見納め


そしてやっぱり出ました伝家の宝刀プンスカ。これがラスト・プンスカです。
擬態語マスターでもあるミスター杉田。すごいぜ!
ちなみにこのときの月島さんが妙に可愛く見えるのは僕だけでしょうか?



でもすぐ治る


片目を潰され、脇を裂かれた斬ですが、一ヶ月で完治
まぁちょっとした擦り傷なら1コマで治るのでこんなものでしょう。
屋上にいる斬のたった3人の友だちに向かって爽やかに言っています。
「みんな、ただいま!」
そして終わります
ポップカルチャーの枠に収まりきれなかった斬。
「作家の画力が未熟なので連載されるのは早すぎたのではないか?」という意見も多いですが、
僕は時代がまだこのマンガを受け止めきれなかったという意味で時期尚早だったのだと思います。


       車斤      ──糸冬──




*同時期に「OVER TIME」という野球マンガが始まり、終わりましたが、
斬のインパクトの前に全てがかすむという悲劇のマンガでした。
後半はちょっと面白かっただけにエンジンのかかりの遅さが残念。
最終回が一緒の号なんて酷すぎる・・・。




とにかく何が言いたいかというと、斬はとにかくすごいということです。